昭和36年ごろの印刷業界。スキージのゴムには合成ゴムや耐油性ゴムが使用されていました。ところがこの材質には問題が多かった。ひとつには、印刷インキに含まれる石油系やベンゾール系などの溶剤を含んで膨潤し易く、ゴムが早く摩耗してしまうという欠点。また、すべて同じ飴色の見た目をしていて、硬度を調べるときは折り曲げた感覚でしか調べることが出来ず、機械への取付時など現場に不便さをもたらしていました。
こうした課題を解決するゴムを探し求め、ミノグループは数々の試作・実験を繰り返します。そしてついに数ある素材の中から、西ドイツのバイエル社が開発したポリウレタンゴムを見出しました。このゴムは石油系溶剤に膨潤せず、ベンゾール系溶剤にも比較的膨潤の少ない特性があることが判り、ブレードに使用した時の耐摩耗性は、他の素材とは比較にならないほど飛躍的な向上を遂げました。
さらに、これまではすべて同じ飴色の見た目をしていたブレード。ウレタンゴムの品種と硬度が分かるように色分けして、使用したいゴムの識別を明確にしたことで、ゴムの選択ミスが無くなり、ロス削減と作業の効率化を一挙に実現しました。
ミノグループの始めたこの手法は印刷業界で歓迎され、またたく間に普及しました。さらには海を超え、西ドイツのバイエル社にも伝わり、その後は世界中のスクリーン印刷用スキージにポリウレタン系ゴムが使用されるようになりました。それらの技術は時を経た今でも、印刷業界のグローバルスタンダードとなっています。